2022年1月4日火曜日

初心者が望遠鏡を買う前に知っておくと役に立つかもしれないこと

 私が苦労した経験から初心者が望遠鏡を買う前に知っておくと役に立つかもしれないことを纏めてみました(ある程度天体撮影を意識している人に向けて)。

1.撮影用にカメラをつけた時とアイピースをつけて目で観測する時のフォーカスの位置は全然違うということ。特にDSLRカメラをつける時は注意が必要で反射式望遠鏡だと一番短くした状態でも焦点が合わないやつとかもあります。DSLRカメラは構造上レンズを付ける位置とセンサーチップまで30mmくらい距離があるので最初から不利(この場合望遠鏡自体を改造しないとダメなんてこともある もっと短いフォーカサーに付け替えるとか 鏡筒を短くするとか そこまでしてDSLRカメラを使いたいと思わないけどね)+IRフィルターがセンサーに一番近い所につけてあって分解しないと外せない(出来ることは出来るけど分解、組み立てが不得意な人には勧めない)。CCDカメラとかだと、かなり余裕があるみたいでfilter wheelとかのオプションをはさむことさえできる。フォーカス長がある程度広い範囲でいじれる仕組みになってるフォーカサーがついてるといいよね(MeadeのSN6はフォーカサーのチューブが2段階に分割できるようになってて短くするとDSLRカメラでも焦点が合わせられる様に作られてて、考えられててとても使い易く出来てる、と思った)。価格を抑えた屈折式望遠鏡だと殆どカメラをつないだ時に焦点が合うように作られていて、アイピースで観測に使う場合は延長用の別売りのチューブが必要だったりすることもある(ガイドスコープとして売られてるのは、こういうのが多い)。

2.赤道儀は、地球の自転で星が移動してることを理解していないと使えない。これをきちんと理解してると、凄く強い味方なんだけど。この辺が分かってない人でなんとなく天体撮影を始めたい人はAlta-Azimuthの望遠鏡であとからwedgeをつけて赤道儀モードにも出来るやつがお勧めかな?(長時間露出の撮影をする気がある人はだけど。 赤道儀なくても短時間の画像をたくさん重ねるというやり方もあるし それにwedgeだけでも、いい値段するよね)。私はLXD55という赤道儀を買ったけど、全然分かってなくてすごく苦労しました、しかも今みたいに検索して簡単に情報が出てくる時代じゃなかったし(どこかのクラブに入って人に教えてもらうっていうのもありだけどね)。今は使い易くて気に入っているけど。

3.とにかくいろんな接続用のアダプターが必要になることが多いです。2インチからTへのアダプターとか、2インチから1.25インチへのアダプターとか、やってるうちにいろんなものが増えてきて、結構お金を使っている、そういうところでも。旋盤使える人だと、こういうの自作出来るんだろうな、羨ましい。

4.常設したくて屋根付きの小屋が作れないなら、かなりいいカバーとかも必要だし。ブルーシートとかも念の為に被せておいた方がいいと思う。いちいち家の中に回収してると赤道儀だと極軸合わせから、また始めないといけないし。でも今は無料のツールでも短時間で極軸合わせ出来る方法が考案されてるから、毎回回収してても問題ないと言えば問題ないと思います。

5.鏡筒が長いとマウントによって移動できる場所に物理的に制限があるということ。まず鏡筒が長いと、三脚の足にぶつかって天頂をさすことは、ほぼ不可能で、コントローラー側に制限がかかっていることが多い。例えば月食の高い位置での観測とかには絶対使えない、と思う。フォークマウントは、こういう制限が多分ないと思う(フォークマウントの中に鏡筒が収まるのが前提のはずだし 但しカメラとかがぶら下がってると収まらないことがあるからから移動制限する機能はついているはず じゃないと最悪カメラとかぶつかって壊れるし)。だから三脚じゃなくて専用のコンクリートピアを用意してやれば鏡筒の可動域が増えて使える幅が広がる。始めたばかりの人がコンクリートピアを作る事はないと思うけど。ドイツ式赤道儀だと子午線を越える前後でフリップが必要になるので、子午線を越えての連続撮影は出来ない。フォークだと、こういう制限はないと思う。

三脚と鏡筒が衝突 高さ制限される


6.必ずしも大口径の望遠鏡が撮影にむいているわけではないということ。広い視野での撮影を目指すなら望遠鏡じゃなくてDSLRカメラのレンズの方が絶対適してるし(安いDSLRカメラのボディだけとF値が小さい速いレンズでいいらしい レンズの方が高いけどね)。高額で大口径の望遠鏡が必ずしもいいとは限らない。でも集光能力が全然違うらしいから大口径のは欲しいといえば欲しいけど。

7.反射式望遠鏡は屈折式望遠鏡に比べて安いけど、laser collimationなどで主鏡と副鏡の位置(傾き)を時々調整してやる必要があるということ(見えるだけで十分なら、そんなに気にしなくてもいいけどね)。coma correctorというのもいるから、取り付けられる物があるか、フォーカス長が十分余っているかとかも知っておかないと買ったけど撮影には使い物にならないという事が起こる。それと、安い望遠鏡ほど周辺での像のひずみや、色相による屈折率の違いでの色のずれなどが起こりやすいこと、なども知っておくといいのかもな?でも、最初に使うやつはそんなに気にしなくていいのかな???安い望遠鏡は、安いだけの理由があってひどいのだとレンズがプラスチックだったりするし。2インチのフォーカサーが付いてるのが、アクセサリーの選択肢が増えるっていう事も頭に入れておくといい。それと2インチフォーカサー以上が付いてるのが、多分ある程度上級者用に考えて作られている筈で質が高いと思う。

8.特殊なボタン電池を使う事が多いような気がする。Polar Scopeのreticleを光らせるのにLR41、十字がついたアイピースを光らせるのにLR44、laser collimation用のがCR2032とかを私は使っている。

9.普通の反射式望遠鏡だと、アイピースで覗き込むには鏡筒の先からなので、大口径になるほど、ある程度背が高くないと使えなくなる。撮影用にカメラ付けるのなら問題ないと思うけど、ケーブルの長さとかもある程度必要になるのかも?鏡筒の後ろから、カメラとかをつけるのが取り回し的には楽だと思う、たぶん。

10.アイピースとかも種類を揃えると結構な値段になるので、最終目的が撮影の人は、ここにお金を使い過ぎない事。

11.高性能の天体撮影専門のcmos,ccdカメラは非常に高額なので、手頃でそこそこ性能の良いカメラで十分経験を積んでんから、そういう高性能のカメラの購入を検討した方がいいと思う。そういうのを買う前に興味を失っているかもしれないしね。

12.暗い天体ほど撮影が難しいということ。M42とかM31とか大きくて比較的明るい’天体は、初心者でも簡単に撮影出来るけど、明るさMagnitude 10より大きい非常に暗いものは住んでる場所によるのか機材なのかよくわかってないんだけど多分難しい。つまり場所か機材の制限で撮影出来るものが限られてるかもしれないということ。その上で結構高額なものを買うかどうか、決めるかだよね。

13.きれいな画像に仕上げようとすると、たくさんの時間と手間がかかるということも知っておく必要があると思う。とにかくたくさん画像を撮って重ねるし、その1枚毎に校正処理が必要で、そのための画像を用意する時間がいる。校正用の画像を用意出来さえすればソフトが勝手に処理してくれるけどね。1枚パッシャ、と撮って終わりとそんな簡単なものではないです。綺麗な画像じゃなければ、それでもいいんだけど、それだと、いろんな不具合が見えてきて満足出来なくなる、と思う。暗いところにデータが集まってるのでレベルのストレッチ処理が、更にカラー撮影すると生の画像は緑っぽくなっていて色調整をしないと、よくみかける天体画像のようにはならない(それようのソフトがある)。

14.PCを使って本格的に撮影すると、とにかくUSBポートをたくさん使用する事になると思う。メインカメラ、ガイドカメラ、フィルターホイール、USBシリアル変換アダプター、ロボフォーカス用のポート。但し3.0のポートはメインカメラ用に一つあればいいと思う。ドームとか持ってる人はそれにも繋ぐんだろうけど。

15.フィルターは、サイズが大きくなる程値段が上がる(LRGB H-Alphaなど)。2インチ用のは1.25インチ用に比べて、かなり高額(面積が半径の二乗で効いてくるから、かなり高い)。でも、カメラのセンサーサイズが大きくなると、1.25インチのフィルターだと必ずvignettingといって周辺減光が起こるので、汚れではなくフィルターの小ささによる周辺減光を避けるには、2インチ用のフィルターを使うしかない。

なんとなく天体関係の事を始めてみたいと思う人でお金がそんなに貯まってない人は、安くて良い双眼鏡とタブレットのスカイチャートでARもしくはナビゲーションモードと呼ばれるものでM31とかM45(プレアデス星団)などの比較的大きくてみつけやすいものをを探せるような練習をしておくといいかもしれない。実際に天体が地球の自転で動いて見えるのを体感しておく、いい経験になると思うし、星座の形を覚えるのが楽しいよね双眼鏡で観測すると。2倍とか3倍の低倍率の双眼鏡だと、星座を切り取ったみたいな視野で見ることが出来るし、合わせて10倍とか20倍とかのを持ってるとM31とかM45もある程度はっきり見ることが出来るし。双眼鏡を使った天体観測は人によると思うけど結構楽しいと思う。一万円前後の安い望遠鏡を買うくらいなら絶対低価格で性能がいい天体観測用に特殊コーティングされた双眼鏡がお勧めです。望遠鏡の弱点は視野が極端に狭くて観測目的の天体を見つけにくい事で安い望遠鏡で目的の天体を導入するのは初心者には相当難しいと思う。

最初から撮影するのが目的なら中古のDSLRカメラのボディとFの小さい速いレンズでの広視野の撮影とかも低予算で始められると思うし(2秒の画像を普通の三脚に乗せて撮影して何百枚も重ねる(DeepSkyStackerで重ねていた)っていう手法がYouTubeで紹介されていた)。DSLRカメラ用の追尾機能付きの赤道儀なら低価格で買えるしね(極軸合わせ用のpolar scopeまでついてるみたいだし)。訓練すると手動の赤道儀でも追尾できるらしいし。


L-Extreme フィルターを使ってみた

 Narrow band filterの中でも、かなり有名どころのL-Extreme を使ってみました。1.25 inchの方だけどね。結果は画像にメリハリがあって、フィルターなしで撮影した時のボヤっとした感じが消えて特に画像処理をしなくても画像に切れがある、みたいな感じです。 ...